著者インタビュー02 吉田きりんさん『元エステティシャンのスピリチュアルな闘病記 統合失調症になっちゃった!』を出版

どんなきっかけで、原稿を書きはじめられたのですか?

わたしは統合失調症を発症して、約10年間の闘病生活を送ってきました。
その間に、同じ病気で自ら命を絶ってしまった仲間もいました。わたし自身も何度も死のうかと思ったことがありました。
それゆえ、彼らの死がずっと心に残っていました。
「彼らはどんな気持ちで死を選んだのか?」とよく考えてきました。
わたし自身、迷い苦しみながら今日まできましたが、“生きることを諦めなくてよかった”とこころから感じています。同じ病気で苦しんでいる方々にも、私の思いを伝えたいと原稿を書きはじめたのです。

その原稿が出版されることになった経緯は?

原稿を書きはじめたときは、出版できるなんてことは考えもしませんでしたが、あるとき、ブログでライターのUさんがプロフィールの書き方のアドバイスをしていると知りました。
「出版するかどうかはわからないけど……もしもそのときがきたらプロフィールが必要だよな……」と、何となく感じたんです(笑)。
それで、思い切ってプロフィール作成を依頼しました。
その時、Uさんに「闘病記を執筆している」と話したら、すぐに出版社を紹介していただき、電子書籍の出版、続いて単行本の出版が実現したんです。

原稿を書くことで、何が変わりましたか?

元々、日記やブログを書いていたこともあり、文章を書くことに抵抗はありませんでした。
とくにたいへんだったことはなく、楽しんで書き進めていくことができました。
ただ、過去を思い出しながら執筆していくことは、闘病をしていた当時のことをもう一度体験していることになります。ときには、胸が苦しくなることはありました。
それでも、書き続けたことで過去のつらかった経験を昇華し、気持ちの整理をすることができました。
ほんとうに、“生きることを諦めなくてよかった”と思っています。

本を読んでくれた周囲の方々の感想は、いかがでしたか?

統合失調症は10代・20代で発症することが多いので、もし、私の本を読んでいただけるとしたら、そのくらいの年代の方が多いのかなぁと思っていました。
しかし、若い人たちだけではなく、わたしよりも遥かに多くの経験を積まれた70代の人生の先輩の方々にも、「おもわず泣いてしまった」と言われ、「これからもたくさん書いて」と応援していていただいたことはとても嬉しく励みになりました。
私の友人は、「こんなことになっていたなんて、ぜんぜん知らなかった……」と驚いていました。
10年間もの闘病生活を支えてくれた母は当時、幻覚や幻聴が起こっている私のことを「どうしてそうなるんだろう?」とずっと理解できずにいました。だけど、この本を読んで、わたしだけにしか見えていなかった世界を知ることになり、「そういうことだったんだね」と今やっと繋がったと言っていました。

これから出版をしたいと思っている人になにかアドバイスはありますか?

わたしの周りにも、「本を出すのが夢なんだ」という方々がたくさんいます。だけど、なかなか行動できないようです。
「~したい」と思っているだけでは、もったいないと思います。
カタチになるかならないかはわからなくても、まずは「書いてみる」ということが大切かなと思います。
1冊の本にするためには、構成や編集などの作業が必要なので、自分ではできない部分もたくさんありましたが、ライターさんなど出版社の方々がお力を貸してくださいました。
今、本を出そうかどうかと迷っているなら、ぜひ一歩、進んでほしいです。
今まで見たことのない新しい世界が広がっていくんじゃないかなと思います。

(聞き手:ライター Y・U)

塾長が愛したカメラたち 表紙

元エステティシャンのスピリチュアルな闘病記
統合失調症になっちゃった!

吉田きりん

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